2016年12月12日月曜日

LSTNGT “Boarding Gate” (Solitude Solutions)


LSTNGT “Boarding Gate” (Solitude Solutions)

LSTNGTのなかのひととはじめてはなしをしたのは、3年くらいまえ、JET SETへよっててJカードのデザインよいなとかおもいながら、でもいまよりほんと日本のひとのをきかないころで手にはとらず、そのすぐあとBLさんへいったら、みたことある方だとおもってたらはなしかけてきてくれて、LSTNGTだとしりました。Warszawa主催だったGoldmundのときにいましたよね、とか、映画のはなしとか。
そしてCold Name名義最後のライブなきょねんの2月のThe Invention of Solitudeではじめてライブをみられて、ものすごくかっこよくって、ちょうどD/A/Dとかシンセウェイヴがめっちゃ好きなときで(というかああいうかんじはずっと好き)それだけじゃあなく最後のトランス感。そのときJSでみかけたカセットテープ “Limits of Twilight” も買って。シンセウェイヴ、っていうひとことで片付けることができない、声のサンプリングにスクリューに、ときおりあらくなるビート、そしてアンビエントな要素と、たくさんな文脈がいりみだれていながら、ポップで最高でした。

そして、きょねんのカセットテープ “Moderate Nightmare 84-97” が傑作で、Falusやブログで最高だといいつづけてたんだけれど、あまりにいいすぎかきすぎて、こちらがああいったシンセな音楽を好きだからだよってはじめはいわれたりしたこともありました。シンセを2台おいて弾く姿は小室だとか朝倉大介だったりとかいわれたり。でも、彼はそこからライブや行動、たたかう姿勢で、まわりを巻き込んでいって。ふだんはわたしもおもしろがって、投げ飛ばされるとかいったりしてるけれど(実際にきょねんのいまくらいにセメちゃんを投げとばしはしたけれど)まわりのなかでもいっとう音楽への愛が強いし、音楽だけでなく映画に文学へと幅広く、すべてに説得力がともなってて。わたしはすこし歳をとってしまったし、本業がいそがしくなったり、カセットっていうせまいところに集中しすぎたせいでいろいろと忘れてしまった感覚を、彼はそのままちゃんと持っていて。音のこととか機材のこととか、こちらがうっすら感覚でしかわかんないことも的確にことばにしてくれるので、ほんとうに尊敬しています。
LFYのライブのときにおたけびをあげてまえのほうへ突き進んでいったり、酒でときおりこわれはするけれども、きっとみんなが信頼しているし、みんなが彼を愛してるんだろうとおもうし、愛されるべきひとだとおもっています。

すくない時間で、なにからかこうかとか、おもいながらかきはじめると、まえおきがながくなって。
レコードの音のはなしを。
A面。
Cherish The Dark Memoriesは不穏に鳴り響くブザーな音からはじまり、その不穏さも取り込みながら、やさしいシンセと声のサンプリングがからみあいながら、すこし金属感ある音がくさびになってたりと、こまやかな音の配置がたのしい。
タイトルトラックのBoading Gateはライブなときにきいたときからことしいっとう好きな曲で、はじまりの空間に投げっぱなしになった抜け落ちトランス感はいっしょにみたLorenzo SenniのDJ(これまでみたDJのなかでもいっとう好きなうちのひとつ)をおもいだすし、気づけばことしベストにあげたいDJ NJ Droneも抜け落ちトランスとゆがんだシンセだったりと、時代もしっかりととらえてる音で。そこから声の合図とともに一気にたたみかけてくるビートのかんじがたまらない。
Gate Guardianのはじめの直球感ににやっとしてしまうし、そこに打撃っぽいビートや浮遊するシンセをあわせて、これまでにないかっこいいものにしあげる力量。
Realize And Disintegrationは高音のシンセのまたたきから、ゆったりと速度をあげてゆくネオンな近未来ドライブ感が最高。Infinite Runningは深くなるドローンのなか、終盤に向けてゆっくりとくみたてられてゆくかんじ、これまでのたくさんな要素っていうよりもまっすぐシンセのアンビエントなかんじが、とても好き。

B面はこれまでのカセットな曲もちらほら。
I’ll Catch UはSOLIDUS Mixになっていて、サンプリングな声をおさえて、中盤から終盤へのシンセの渦がよりまえにでてて。
映像が先行で公開されたCelestial Windはゆがんだシンセと青いメロディ、そしてMVではそこにうつる青年の姿(伊郷くん)にういうししさとか青さとか、そういったものがぎゅっとつめこまれてて、ふたりのはなすすがたをしってるっていうのもあるんだけれど、きゅんときました(公開された日の夜はDKでいっしょだったけれど、眠すぎと下痢でおいてかえってもうしわけない)
コンピレーションにはいっていたCleanから、Last Resort。このあたりで涙腺が崩壊するんですが。はじめの曲からのながれがつながる瞬間。やさしい声から、すこしゆがみながらやさしくなるシンセ、終盤の音のアジア感とか最高。
そして最後、Lucid Dream (Restoration)はジャケットの新宿の風景のように、壮大なアンビエントで最後の一音がすぅっと消えてく瞬間にきゅんときます。Riddim Noirな帰りにみた新宿の朝の風景とかよかったなとかおもいだしながら。
攻撃的だし、でも全体のメロディのやさしさとポップさ、はじめのころよりそぎ落としながらも効果的になったサンプリングとか、きょねんのカセットのときよりも、暗黒さはかなりうすまり、もっとまっすぐな音にきこえて。
映像の字体とか、Magic FadesのUSBのんとちかかったり、けっこうわたしのなか近いのよね。どちらも好き。

またうざいくらいにかいてるわ、っておもわれるやもだけれど、ほんとかっこいいのでぜひ BLさんだったりDユニオンだったり、お店で買えるならお店で買ってほしいです。

こちらはことしDJをする機会をたくさんいただいて、LSTNGTをどこでかけるか、っていうのがその日のセットの組み立ての出発点で。おおよそことし最後な機会だっただろうK/A/T/O MASSACREなときはまだ発売まえだったBoading GateをSoundcloudからカセットに録音して流してっていうやりすぎ感はあるけれど、それくらいに中心でした。
西川社長がかいてるみたいに、すごくせまいところでのできごとなのかもしれないです。いまはアイドルだってなんかあればレコードだしたりする時代、レコードがでたとかいってなにをそこまでさわいでるんだって、ほかのインディなひとにもおもわれるやもしれない。でも、この1年、彼がたたかってきた姿をみてきたし(そんなたいそうなことではないかもしれない)それがことしのうちにまにあって、いまレコードできけることがなによりもうれしくって。たくさんなひとを大好きだけれど、2016年はLSTNGTがわたしのなかの主役でした。リリースおめでとうございます。




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